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兄妹

オウセイフッコ、って、呼ぶことにします。何を。しちゃいけない恋のこと。わたしの知ってる中で一番難しい言葉。わたしにはお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんっていうのはわたしの本当のお兄ちゃん、血の繋がった本当のお兄ちゃんが居て、六年ぐらい前から二人で住んでる。お父さんとお母さんはわたしが喋ったり何かを考えたりできる前には離婚してて、それでし

きりん

1 ただ毎日に飽き飽きしているというのではない。わたしが今送っているこの生活は、まるで毒みたいにじわじわと精神を犯してくる。問題は、わたしがこの毒にすっかり慣れてしまっていることだ。 しじま台動物園に勤務して2年。一通りの仕事は覚え、後は自分でやりがいを見つけていくだけになった。はじめの頃は、けたたましく鳴く猿や優し気な目をした象を前

文通

文通 姉が死んだ。自殺だった。 彼女は私の自慢だった。賢く優しくて、容姿も良い。すらっとした体躯に、白くて細い手と指。女の、それも実の妹である私が見ても、それはどきっとするほど綺麗だった。 直接の死因は、失血死だった。ナイフを首に突き立てて、真っ直ぐ横に引いていた。 姉の遺体をはじめに発見したのは私だった。借りたCDを返すためにアパート

生活弱者

生活弱者 決まって雨の日に、女性を家へ招くことにしている。自動車が跳ね返す水しぶきで煙った街に、1人、手持無沙汰そうにしている女性を見ると、歯止めがきかなくなってしまう。これはれっきとした性癖だろうと思う。 2年前に妻と離婚して以来、私は1人で一軒家に住んでいる。ひっきりなしに女性を連れ込むので、近所での評判は推して知るべしといったと

冷夏

冷夏 夏に死のうと思った。 今まで生きてきて、いいことなんて一つもなかったから、せめて死ぬときは、大好きな夏にしようと決めた。 朝早く起きて、濃い目のコーヒーを淹れてから、ベランダに出てゆっくり街を眺める。まだ起きてない朝、車もまばらにしか通っていない幹線道路を眺めながら、自然と涙なんか流したりして、嫌になって濃いコーヒーを一気に飲み